2024/11/15 17:30



【広陵町立図書館:竹取物語を愛でよう】


奈良の広陵町立図書館の「竹取物語を愛でよう」という企画の一環でお声がけ頂き、イタリア語版のかぐやひめの絵本と日本のかぐやひめの絵本5冊を読み比べ、お話させて頂きました。20名以上もの方々にご参加頂き誠に嬉しく思います。


「竹取の翁」「かぐやひめ」「5人の皇子の名前」といった固有名詞をどのように訳しているか訳語を比較したり、皇子達に課される試練の順番や内容、その結末を比較したり、全体的なプロットを比較し、イタリア語での『かぐやひめ』の朗読を聞いて頂いたりしました。


イタリア語版と日本語の絵本の比較はもちろんのこと、日本語版の絵本5冊にも以下のようにそれぞれ少しずつ違いがあり非常に興味深かったです↓


・着ると記憶を失う「天の羽衣」の記述の有無


・不死の薬を流した山が「不死の山」となり、転じて「富士山」になったという逸話の有無


・十五夜に月へ帰る、竹から小判が出る、雲に乗った天人達、等の記述の有無


・「輝く竹を発見するお爺さん」と「輝く娘を発見するお爺さん」の記述の違い


・やってくる皇子の順番の違いや名前の表記の違い(例:あべのおとど→あべのみむらじ→あべのうだいじん→あべのさだいじん、いしつくりのみこ→いしつくりのおうじ、おおとものだいなごん→おおとものみゆき、いそのかみちゅうなごん→いそのかみまろ、等)


・5つの試練に関する表記の違い:地名 (天竺→インド、京都のお寺→大和のお寺→どこかの古寺、唐土(もろこし)→中国、蓬莱の島→蓬莱山等)


・5つの試練に関する表記の違い: 内容(白玉の実→真珠の実、金の根と銀の茎→金の枝→黄金の木、等)


・5つの試練に関する表記の違い: 結末(龍の首にかかる五色の珠を探す過程で嵐に遭い逃げ帰る→龍の首にかかる五色の珠を探す過程で龍に食べられてしまう、燕の子安貝を燕の糞と取り違える→子安貝を見つけられず諦める、籠から落ちる→屋根から落ちる→梯子から落ちる、等)


など、他にも細かな点を含めれば挙げきれないほど微妙な差異が確認できて大変興味深く思いました。


間の休憩時間には尼崎のイタリア菓子店ビアンカさんや、イタリアのお菓子メーカーロイゾンさんのイタリア菓子(シエナのリッチャレッリやとうもろこしの粉でできたザレッティ等)を食べて頂き日本とイタリアが融合するイベントを実感することができてとても嬉しく思います。


その他フランス語やロシア語、韓国語など様々な国の言語の『竹取物語』や『かぐやひめ』も拝見することができて非常に有意義な時間を過ごすことができました。


広陵町立図書館様、ご参加頂きました皆様、イタリア語版を含むかぐやひめの様々な版の読み比べの機会を頂き誠にありがとうございました!