2025/07/11 09:29





【選書のお仕事】
鳥取のコミュニティスペース(交流ポラーナさん)向けに戦争と平和をテーマとして12冊選書させて頂きました。
8月2日には同テーマでの読書会が行われるそうで、先日から選書絵本の展示コーナーを設け本や絵本の貸し出しもして下さっているとのこと。
ポラーナさんでは早速『むこう岸には』『ジャーニー国境を越えて』『キンコンカン戦争』を借りて下さった方がおられ、『むこう岸には』を借りて下さった方は小学校4年生の読み聞かせで読んでみたいとおっしゃって下さったそうです。
今回の選書の本や絵本はいずれも読んで頂きたいものばかりですが、中でも『見知らぬ友』に収められる小編「立ち入り禁止」は必ず読んで欲しい作品です。
フォークランド紛争で徴兵された少年一家の物語。息子を案じ部屋に閉じこもりがちになる両親と兄を想う弟。残された家族の姿が今も心に焼き付いてはなれません。
翻訳は宇野和美さんによるもので今回選書させて頂いた『むこう岸には』の翻訳も手がけられたスペイン語の翻訳家です。
宇野さんの絵本では今回選書に含められませんでしたが独裁政権下のある家族を描く『ペドロの作文』も読んでほしい。
独裁政権に反対する者がいないか確認する為、軍部は小学校で「家族の過ごし方」というテーマで子ども達に作文を書かせることにした。独裁政権に反対している両親を持つペドロが書いた作文とは…
その他以下のような本や絵本も選書しております。
・春に奈良で原画展を開催下さった古山 拓さんが挿画をてがけた『交響曲「第九」 歓びよ未来へ! 板東俘虜収容所 奇跡の物語』
徳島の鳴門ではなぜ「第九」を歌うのか。ドイツ兵捕虜と収容所所長の絆に心を打たれます。
・『命をつないだ路面電車』は「10代がえらぶ海外文学大賞」ノミネート作品。
ナチスに連行されないよう路面電車に身をかくしたユダヤ系イタリア人の実話に基づく物語。車掌や運転士の愛情と勇気に胸が熱くなります。
・「10代がえらぶ海外文学大賞」の選考委員である三辺律子様が帯文を寄稿された『13枚のピンぼけ写真』
舞台は第一次世界大戦下のイタリア。父と兄を徴兵された姉妹と母は故郷を離れ疎開していく。敵国である兵士の優しさに気づく少女の姿を通じ、本質を捉える主人公姉妹の目線に考えさせられてしまいます。「女性や子どもにもっとカメラを手渡せと、この物語は叫んでいる」と、三辺さんの帯文が心から離れません
・当店のオンラインイベントにも登壇して下さったよしとみ あや さんが訳された『わたしはあなたは』
イタリア人とモロッコ人の小学生2人が当人同士、生い立ちを語り合い、互いの家族にインタビューをして相手の伝記を完成させる物語。モロッコからやってきた少女の過酷な生い立ち。モロッコの人へ偏ったステレオタイプを抱える人々や偏見の目をもつことなく等しく接する子ども達。分断という言葉が蔓延る今の世に読んで頂きたい一冊。
その他の本も読んでもらいたい作品ばかり。また追ってそれぞれの選書理由も投稿したいなと思っています。