
★ピノッキオと巡るイタリアお菓子の旅
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応援したい人がいる
応援したい店がある
応援したい想いがある
ピノッキオの旅は終わりません
こんなことで終わらせられない
・・・
皆様、Pasticceria Bar Pinocchio(以下略称ピノッキオ)をご存知でしょうか?
東京の富士見ヶ丘に構えていた「イタリアの郷土菓子店」です。イタリア 好きが集う街の名物にもなるような菓子店でした。
昨年、その店主の岩本様が、生死を彷徨う大事故に遭い、惜しまれながら店は閉店してしまいました。
少し岩本さんについてお話させて下さい。
岩本さんはお菓子、私は本、進んだ道は違いますが同じイタリアの文化を伝える生き方を選んだ年齢も近い同志のような方です。
私がイタリア の洋書をなかなか手に取ってもらえないなぁと悩んだときに、「ピノッキオさんも頑張っている!」といつも刺激をもらい頑張ろうという気にさせてもらう間柄でもありました。
と、そこまで書いておきながら、じつは私は岩本さんとはメッセージのやり取りはしていますが直接の面識はありません。共通の知人を介して知り合い、メッセージで近況を伝え合う不思議な関係ですが、大好きなイタリア のことに打ち込む姿に自身を重ね合わせ、いつも力をもらっておりました。(今も頂いています)
岩本さんは小学校5年生の時に食べたイタリア菓子のパンペパート(クリスマスに食べられるお菓子)をきっかけにイタリア菓子に魅了され、イタリア に渡り、イタリア 郷土菓子専門の職人さんになられました。その時食べたパンペパートは神戸のイタリアンレストランが期間限定で販売していたものだったとのことです。
イタリア ではバールに住み込みで働き修行を積み、ヴィチェンツァ、ラヴェンナ、ボローニャ、ペルージャ、テルニ、シエナ、フィレンツェ、ローマ、とイタリア 中をお菓子の旅で巡られた方です。
日本に帰ってからも、お菓子を教わっていたノンナ(おばあさん)に文通でレシピを貰ってお菓子を製作し、試作が出来たらそれをイタリア に送る、ノンナから「これなら店に出してもオッケー」とお墨付きをもらったらようやく自身のお店に出せる。そうして出来たのがイタリア 菓子店「ピノッキオ」です。
店をオープンしてからも、教えてもらったお菓子が美味しかったら、「現地の味を知っておきたい」とイタリア のフリウリに旅立ちグバーナを食べる。そんな人です。ただ味を知りたいだけではなく、街や村の景色を、歴史を感じたくて。
どれだけの労力でしょうか。勿論時間もお金もかかります。お菓子屋を続けるのに必ずしなければいけないことではないかもしれない、そんなスタイルを愚直に続けてきたお菓子屋さんです。そうしたレシピは10,20,30...と増え続け、今は100を超える数となりました。ですのでピノッキオで作られるお菓子はその味にノンナから許可をもらった岩本さんだけが出すことを許されるお菓子です。同じお菓子をレシピ通りに作ってもピノッキオのものにはなり得ないのです。そこには二人の歴史やイタリア の街並み家庭の匂いが溶け込んでいるのですから。
このお菓子への想いと行動力は、イタリア の作家さんや出版社さんに、洋書のまま絵本を紹介するために、私訳を付けることや作家さん、イラストレータさんの資料を付けること、あらすじを日本語で作成することなどを許可もらうためにイタリアの本関係の人々に尋ね回り奔走する自分の姿と重なります。イタリア に行って説明。日本からコンタクト先を探して説明。地道な作業が続きます。岩本さんの足元にも及びませんが気持ちだけは勝手に共感出来た気になってしまうのです。
絵本店としても菓子店としても店側の人間が、「これだけのことを裏でしているんだ」と、さも人には出来ないような努力をしていると思わせてしまうこのような書き方はあまり良いことではないかもしれません。どのような方でも皆様それぞれ多分に努力をして仕事を成し遂げているわけですから、自分達を特別のように見せるのではなく、裏の努力は見せず淡々とやるべきことをするのが本来なのだとは思います。
でも書かせて下さい。それでは見えなくなってしまう岩本さんの熱意や努力を少しでも皆さんに知ってほしいのです。
イタリア 菓子への一方的な想いだけが強い方ではありません。
お客様にまつわる面白い逸話も聞かせて頂きました。
中学時代からピノッキオのバーチディダーマ(チョコレートクッキーのようなお菓子)を好きになってくれて、高校生になり初めて出来た彼氏へバレンタインで手作りのものを渡すために、岩本さんが作り方を教えたこと、そしてそのバーチが仲睦まじい2人に学校の屋上で食べられたという心あたたまるお話。このお菓子はイタリア 語で貴婦人のキス という意味なのですが、「そのままチューまでいったん?」と聞きそうになったのを堪えて「良かったなぁ」とだけ伝えたという岩本さんのお人柄もとても素敵です。
100円を握りしめてやってくる小学5年生の男の子。「この固さがたまんない」と一丁前にカントゥッチを食べるそうです。
修学旅行の際に来てくれた修学旅行生に彼女とデートするためのオススメの場所を教えてあげたというお話もほんわかするエピソードです。
そうして地域に愛されて少しずつ育ってきたピノッキオは帰宅が遅くなった仕事帰りに岩本さんが乗ったタクシーが大事故に遭いあっけなく閉店することになってしまいます。
願わくば先程挙げたような子供達と一緒にお店も成長したかったというメッセージが頭から離れません。
不幸中の幸いか、岩本さんは一名を取り留め、脳にも障害が無く事故後半年を迎え今は病院で過ごされています。それでも再手術を重ねた今も歩くことは勿論、立つこともままならない状態で神経麻痺に苦しむ日々が続いています。
そんな中以前から受けていた出版の話を受け、イタリア 菓子の絵本を出版されました。タイトルは『ピノッキオと巡るイタリアお菓子の旅』です。
自分の作り得るお菓子はノンナ直伝のアバウトなものでレシピ化は難しいと断り続けていたものを、岩本さんのやりたいようにやってもらってかまわない、、と出版社さんの懐の深い提案を受け、決断に至ったという絵本です。
オールイラストのお菓子本にしたいと断固として写真を使わないものになりました。イラストを手掛けられたのは向井順子さん。フィレンツェに小さな画廊を構え、温かみのある画風で、岩本さんの作られるお菓子に、思い描く本にぴったりだと、一緒に本を作ることになったとのことです。
お菓子の作り方が載っているだけではありません。
お菓子の由来
岩本さんとお菓子の出会い
そのお菓子の地方の特色
などと併せて描かれる絵本です。
ですのでこれはただのレシピ本ではありません。
ピノッキオと岩本さんのお菓子を巡る終わりなき旅の絵本です。今はまだ旅の途中の2人の物語をお楽しみ頂けると嬉しく思います。
死んでもおかしくない事故の中、お店を失い、健康な体も失ってはしまいましたが、生きているからこそ、お菓子本の出版が出来てお客様に感謝の気持ちを伝えられる。
本が世に出たからこそ、この先ずっとこの本は残り、イタリアを好きに、イタリア菓子を好きになる、未来のイタリア菓子職人ができるキッカケになるかもしれない。
今はまだ1分も立てない体だけど、頭は健康、手も動く。なのでSNSを介してイタリア菓子についてのあれこれを発信出来る。
今の自分に出来ることを精一杯して、何年経っても必ずまた菓子職人として立てると信じ、リハビリに励む。いつまでもイタリアが好きでイタリア菓子が大好きだと・・・
その言葉を聞いた時には感動の想いが抑えられませんでした。立つことも出来ないことを嘆くのではなく、だからこそ本を通じて感謝の気持ちを伝えられる。同じ状況になっても、私にはきっと死ぬまで言えない言葉なんじゃないかと思います。
岩本さんを応援して頂けると嬉しく思います。私の店からでなくても構いませんので、イタリア菓子の絵本を買って、お菓子を作ってピノッキオに想いを馳せて頂ける人が一人でも増えれば、ピノッキオの想いやイタリア の食文化は少しずつ根付いていくはずです。
学校やレストラン、お菓子屋さんや本屋さん、イタリア に関わる人、食にかかわる人・・・
出来ればイタリア と全く縁の無い方にも想いが届けばと願っております。普段私が取り扱うイタリア語の絵本をイタリア と縁の無い方に興味を持って下さいというのはすぐには難しいかもしれません。
でもお菓子の場合、食べれば美味しいか美味しくないか、見た目が楽しいか楽しくないか、わかりやすくお手軽に楽しんで頂けると思います。勿論その背景まで楽しんでもらうのは少しずつ時間をかけてかもしれませんが、イタリア 菓子の美味しさや楽しさはそれが無くてもなお伝わるものだと信じています。
どなたでも何か心に触れるものを感じて頂けた人がおられましたら投稿を拡散頂いたり、店を失ってしまったピノッキオの活動や想いを広く伝えられる知恵を頂いたり、応援のメッセージを頂けると嬉しく思います。
私は絵本店として、地道に岩本さんの活動について語り、ピノッキオの絵本『ピノッキオと巡るイタリアお菓子の旅』
を紹介・販売していきたいと思っています。
応援の気持ちを込めて100冊全て買い取りで仕入れさせて頂くことにしました。多くの方に手に取ってもらえたらと願っています。
長くなってしまい申し訳ございませんでした。
そして個人の想いを押し付けることですみません。今回のことは私情に溢れてます。それでも宜しくお願い出来れば嬉しく思います。
チェルビアット
四方
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#ピノッキオと巡るイタリアお菓子の旅 #ピノッキオ #Pasticceria Bar Pinocchio #イタリア菓子 #絵本
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